蓄光とは

人間と夜光・蓄光との関わりの歴史は古く、1000年前の日本で利用され始めたと言われています。時計の文字盤や針は身近な夜光・蓄光製品として古くから利用されているものですが、暗い所で電源無しに発光するので今なお非常に重宝するものとして利用されています。

蓄光は以前は夜光とも呼ばれ、暗闇で自ら発光するものです。蓄光の元となる蓄光材は自然界から産出される自発光する金属で、太陽光や蛍光灯の紫外線を吸収することで光源無しで自ら光ります。

蓄光印刷された避難誘導表示が光る様子

蓄光材はその性質から、

  • 電源が不用
  • 設置が簡単で、費用が安い
  • メンテナンスが不用
  • 維持費が掛からない
  • エコ商品である
  • 繰り返し使用可能

等の優れた特性をもち、その特性を生かした製品開発が進められて来ました。

特に2011年の東日本大震災の経験から、電源などの光源が無くても発光する蓄光製品が注目され、政府も旗を振り、これから起こる自然災害から国民の命を守るために、蓄光を活用するための規格の制定や製品の開発が行われています。

蓄光と蛍光の違い

蛍光体は、外部からの光エネルギーを吸収している間は発光していますが、外部からの光が無くなると発光が止まります。

蓄光材は、その名の通り吸収した光エネルギーを蓄えたうえで、徐々に可視光に変換して発光するため、外部からの光が無くなった暗闇の状況でも蓄光材自体が長時間発光します。

蓄光材について

現在、市場で使用されている蓄光材は大きく分けて硫化物系と酸化物系の2種類があります。

  物質名 特徴 発光時間 主な用途  
硫化物系 亜鉛 安価 2時間程度 玩具
アクセサリー
一時、放射性物質を混ぜ輝度UPを図ったが、1995年法令でその物質の使用は禁止
酸化物系 アルミナ・ストロンチウム
アルミナ・ストロンチウム化学式
高品質 8時間以上 時計
避難誘導関連
日用雑貨
 

蓄光の発光色と特徴

蓄光の発光色 黄緑
  • 国内において、市場を席卷
  • 初期輝度が高い
  • 耐水性に劣る
青緑
  • 初期輝度は黄緑に劣る
  • 発光時間は長い
  • 好まれる発光色で、汎用性が大きい
  • 輝度が低い
  • 彩えた色調なので補色として有効

蓄光の発光の特徴

蓄光による発光の輝度変化のイメージ

蓄光の輝度変化イメージ

太陽光や蛍光灯の紫外線を受光後自発光が始まり、停電時などで光エネルギーの供給が止まり周囲が暗くなると、自発光しつつ光の減衰が始まり、8~10時間で視認出来なくなる。(※)
しかし、太陽光や蛍光灯の紫外線を受光することで再度自発光し、これを繰り返す。

※当社の標準的な蓄光印刷の場合。

蓄光材の粒径と用途

蓄光材の原料は海外からの輸入に頼っており、日本に輸入されている蓄光材原料のはほとんどが中国原産です。中国メーカーにより品質に差異はあるものの、蓄光材の出来る工程は、

蓄光材の製造工程

となっていて、最終の粉砕工程で用途に応じた粒径を作り出します。
同一メーカーの蓄光材では、粒径が大きい程輝度が高いことが良く知られています。

蓄光石ブロック
敷石等に使用される蓄光石ブロック

輝度に関する規格関連

輝度と人間の視認感覚の目安(DIN67510:ドイツ工業規格)

輝度
単位:mcd/㎡
暗闇での明るさの感覚 認識可 認識不可
5以上 非常に明るく、はっきり確認できる 10人 0人
3以下 物の輪郭まで確認できる 10人 0人
2以下 薄くぼやけるが、なんとか確認できる 10人 0人
1以下 ほとんど確認できない 3人 7人

ドイツ工業規格による輝度と人間の視認感覚の目安(DIN67510)では、輝度が5mcd/㎡以上であれば、非常に明るくはっきり確認でき、10人中10人が認識できるとされ、輝度が1mcd/㎡以下になるとほとんど認識できなくなります。

JISでの蓄光に関連する規格

国内においても、経済産業省が避難誘導標識において蓄光製品の広がりを望みながら、品質の標準化を目指し、避難誘導標識における蓄光材料の発光輝度に関してJISを制定しています。
なお、規格については強制力のない屋内用と屋外用に分かれています。

JIS Z9107

屋内向け JIS Z9107(安全標識板2008年改訂)

最低りん光輝度(mcd/㎡)
副分類 2分後 10分後 20分後 30分後 60分後
JA 210 50 24 15 7
JB 440 105 50 31 15
JC 880 210 100 62 30
JD 1760 420 200 124 60
励起条件:200LXで照射して励起時間20分

JIS Z9097

屋外向け JIS Z9097(津波避難誘導標識システム 2014年 公示)

区分 励起停止後720分後のりん光輝度
Ⅰ類 3mcd/㎡以上 10mcd/㎡未満
Ⅱ類 10mcd/㎡以上
励起光条件:400µw/c㎡ 60分照射

当社のスクリーン印刷による蓄光製品はⅠ類をクリア。
※印刷では、Ⅱ類はクリア不可。

蓄光印刷の耐水性について

耐水性UPの努力

蓄光材は水に弱い性質があり、特に黄緑系で顕著となっています。弊社の製品ではないものの、実際に過去数度に亘って常時水に触れる場所に蓄光標識を設置したことで、蓄光部分が黒く変色し、発光しなくなる事故を起こしています。

蓄光材メーカーは高い耐水性UPのための研究・開発を進めてはいますが、耐水性向上対策による輝度低下やコストUP等のデメリットを解決出来ていません。

当社の蓄光印刷技術においては、高輝度蓄光印刷のページでもご紹介しているように、スクリーン印刷による蓄光印刷物を水に1ヵ月浸して印刷部分に異常がない事を確認しています。

蓄光材に関する特許関連

パイオニアメーカーの特許が切れ始めています。

蓄光材に関する特許は、根本特殊化学(株)と日亜化学工業(株)が保持していましたが、2015年・2016年から順次特許が切れ始めています。これまでは、特許権により他社が蓄光材の開発・改良を進めることが不可能な状況がありましたが、これからは蓄光材に関する特許が切れたことによって、各インキメーカーによる研究・開発が活発になることが期待され、また中国のメーカーも日本の蓄光市場への参入を目指していると言われています。

蓄光印刷による非常口マーク

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